「メキシコ民芸雑貨: coRa」で取り扱っている商品はすべてウイチョル族の作品です。

今日はそのウイチョル族ついてのお話です。

 

世界的には「ウイチョル」という名で知らているメキシコ合衆国の先住民族ですが、彼ら自身は「Wixáritari」というウイチョル語で呼んでいます。

 

ウイチョル族は、メキシコ西部のナヤリット州、ハリスコ州、サカテカス州とデュランゴ州の4州にまたがるシエラ・マドレ・オクシデンタル山岳地帯に住んでいます。人口は約20,000人とも言われていますが、そのうちの約13,000人ほどが上記の4州に住んでいると推測されています。(下記の地図の緑色で記した地域です)

 

メキシコ西部の山岳地帯にウイチョル族は住んでいます。

 

メキシコはスペインの侵略の影響でカトリックの国ですが、ウイチョル族はスペイン軍が辿り着けないほどの山岳地帯に居住したため、独自の文化・宗教を保存することの出来た、世界的にも数少ない部族の一つです。また、ウイチョル族の人々は、自分たちの文化をとても誇りに思っていて、彼らのアイデンティティーとして確立されています。

ウイチョル族の信仰する宗教ですが、シャーマンを中心としたコミュニティを形成し、シャーマニズムを信仰しています。また、人間以外のもの、例えば、火、太陽、雨など、自然界に存在するすべてのものには精神があるというアニミズムを信仰しています。神と自然に対し、常に尊敬と感謝を忘れない、とても信仰深い部族です。

その信仰の深さを表すように、彼らは毎年、先祖の故郷であるサン・ルイス・ポトシ州にある聖地「Wirikuta:ウィリクタ」に赴き、サボテンの一種、聖なる「ペヨーテ」を採取し、宗教儀式を行います。その聖地までの巡礼ルートは、総距離で600キロ以上もあり、ウイチョル族の人々は、聖地までの険しい道のりを旅します。

ウイチョル族を語る上で、切っても切り離せない聖なるサボテン「ペヨーテ」ですが、ウイチョル語では、「Hikuri:ヒクリ 」と呼ばれています。宗教儀式に使用するだけでなく、ペヨーテは薬でもあり、食物でもあり、神との繋がりを象徴する重要な存在です。聖地ウィリクタでの宗教儀式では、採取したペヨーテを大人はちろん子供も含め、シャーマンが皆に分け与え食しますが、ペヨーテの代表的な特徴の一つは、摂取すると幻覚作用をもたらすことです。このペヨーテが引き起こす幻覚作用により、シャーマンは神と話が出来、ウイチョル族の魂の再生を確実にし、次世代に繋げていくことができると考えているそうです。その神との交信、彼らの精神世界が、世界的にも有名なウイチョル族の芸術作品に反映されているのです。

 

彼らの信仰は、ウイチョル族の民族衣装にも表れており、動植物などの素晴らしい刺繍が施されています。下記の写真のウイチョル族の女性のトップスとスカートの裾にはペヨーテの刺繍と、胸元にはスピリチュアル・ガイドを意味する鹿の刺繍がされています。

民族衣装のみならず、ウイチョル族のすべての芸術作品には、精神世界を表すシンボルが描かれており、一つ一つが意味を持っています。言い方を変えると、シンボルなしではウイチョル族の作品は完成しないということです。シンボルの意味を知ることで、ウイチョル族の作品をもっと深く理解することが出来、また、意味を知った上でウイチョル族の作品を鑑賞すると、一段と興味深いものになります。

 

刺繍の素晴らしい民族衣装に身をつつんだウイチョル族の女性。

 

現在、彼らの聖地ウィリクタとそこに通じるための600キロ以上にも及ぶ巡礼ルートは、経済開発により生存の危機を迎えています。その巡礼ルートを旅するウイチョル族のアーティストを描いたドキュメンタリー映画「Eco de la Montana」を次回ご紹介したいと思います。