以前にこのブログでウイチョル族の伝統工芸品の種類を紹介しました。

 

メキシコ ウイチョル族について: 伝統工芸品

 

 

今日は、ウイチョル族の芸術品の中から、Nierika (毛糸絵画) について少し掘り下げてみます。

 

まずは、Nierika (毛糸絵画) について説明している論文を見つけました。

Nierika (毛糸絵画)の役割や芸術品としての発展の歴史などが、わかりやすく説明されているので、そのまま引用させて頂きます。

 

 nierika はウィチョール族のシャーマンが世界を知るために用いる呪
物であり、天の世界を見るための窓を象徴したものと言われる。つまり、現世と別世界の通路や扉であり、両世界を隔てる柵を象徴する(Schultes y Hofmann 184)。

 呪物としてのnierika から商品としての毛糸絵への発展は、ウィチョール族自身からの自発的な動きではなく、外部社会からの働きかけで起こったものであり、その動きは米国の人類学者Robert M. Zingg がウィチョール族の現地調査を実施した1934~1935年頃より見られた(Maclean 68)。その後、首都Ciudad de México にMuseo de Artes e Industrias Populares(ポピュラーアート・産業博物館)が設立された1953年頃より、ウィチョール族の毛糸絵製作が盛んになる。当初の毛糸絵は小型でシンプルなデザインであったが、やがて、Zapopan 大聖堂のフランシスコ会神父Ernesto Loera Ochoa の助言を受けたウィチョール族のシャーマンRamón Medina Silva の手によって、ウィチョール族の神話ストーリーを毛糸絵に表現することが始められる3)。それは同大聖堂のウィチョール族博物館で展示・販売することを目的とした毛糸絵制作であった(Kindl y Neurath 443)。 ウィチョール族の世界観を映し出す毛糸絵は、その独特かつ緻密な制作技法とサイケデリックなデザインが高く評価され、民芸品からアートへと昇華した。毛糸絵の隆盛により、ウィチョール族は、「伝統的な生活を保守する先住民」や「芸術家」として、メキシコ国内のみならず、海外においても知られることになった4)。

 

引用元:関西外国語大学期間リポジトリ

著者:山森 靖人 氏

題名 : ウィチョール族民芸品販売の現状と問題

URL : https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=6045&item_no=1&page_id=13&block_id=21

 

Nierika (毛糸絵画)は、現実世界と精神世界への境界域を象徴し、ウイチョル族のシャーマンが神と交信するために使われていた道具が、外部からの触発で芸術品に発展していったのですね。

 

そのNierika (毛糸絵画)の基本的な作成方法を簡単にご紹介します。

  • 木版を準備し、糊の役目をするビーワックスと松脂をミックスしたものを木版全体に塗り広げます。
  • デザインを先のとがった物で木版の上に描きます。
  • デザインに沿って、糸を注意深く押し付けながら張り付けていきます。

 

“言うが易し 行うが難し” ですね。

ウイチョル族の方の中でも、デザインを木版に描かずに、頭の中のあるデザインをビジュアル化されていく方もいらっしゃいます。

それでも、クオリティの高い作品が生まれるのですから、素晴らしいです。

 

ウイチョル天国でも、Nierika (毛糸絵画)を作成されている方がいらっしゃいました。お話を伺い、写真を撮らせて頂けるか聞いてみると、「写真は魂を持っていくから嫌いです」とのこと。そういう考えをお持ちのウイチョル族の方が、特に年配の方、中にはいらっしゃるので、写真を撮る時はいつも許可を得るようにしています。

→ メキシコ ウイチョル族 ウイチョル天国

 

なので、Nierika (毛糸絵画) 作成中の様子は撮影は出来ませんでしたが、今後オンラインストアでも、もっと種類を増やしていく予定ですので、美しい完成品をお楽しみください。

 

上記の写真のNierika (毛糸絵画)は、、メキシコ民芸雑貨 : coRa | オンラインストアでご購入頂けます。